2019年12月29日日曜日

奴隷労働じゃないよ

今から50年くらい昔の話ですが、日本人が外国に留学したり、勉強をするために滞在するときに、経済的な支えにと、こっそり仕事をすることがありました。

厳密にいえば、今の不法就労に当たると思いますが、当時はそうした取り締まりもなく、男子は、皿洗いとか給仕のアルバイト、女子はオペアと相場が決まっていました。

オペアというのは、あんまり耳にしない言葉だと思うのですが、海外留学経験者などには知っている人が多いと思います。

早い話お手伝いさんで、裕福な家庭で働きます。

子守り専門家だとナニーと呼ばれたりもします。ナニーさんは、長期間働きますが、ベビーシッターは、短期間の場合です。

日本だと、お手伝いさんを雇うのは、相当に裕福な家庭ですが、貴族社会を経験している国々では、昔から、お手伝いさん文化はあるようです。

アジアですと、イギリスの影響が強い香港やシンガポールでは、お手伝いさんを雇っている家庭も少なくないです。

タイも同じで、日本人でも駐在員を中心にお手伝いさんを雇っている人も多いですが、住み込みではなく通いが多いようです。

タイでは、お手伝いさんを日本人はアマさんと呼んでいます。英語で“amah”、中国語で“阿媽”が語源で、香港あたりから駐在員の奥さんが持ち込んだのでしょう。

タイのお金持ちは、料理専任のお手伝いさんや掃除洗濯専任とか、子守り専用の看護師さんとか、庭師、運転手、警備員など、ものすごい数の使用人を雇っている家庭もあります。

オペアでもナニーでも、原則は住み込みで働きます。高級な家とかマンションには、お手伝いさん専用の部屋と台所とトイレ・シャワールームがあります。

ですから、時には、ご主人からセクハラを受けたり、奥様からのパワハラが問題になったりもします。

シンガポール香港では、時々、新聞沙汰になるようなひどい事件も起きています。

アジアに限らず、オペアさんとかナニーさんには、フィリピン人が多いようです。英語を話すし、性格もフレンドリーだし、よく仕事するしで、人気があるようです。

女性の社会進出とか、最近は話題になって、日本は遅れているとかいわれますが、女性が社会に出て働くには、家事とか子育てを援助してくれるシステムや人材が必要なわけで、ご主人の協力だけでは十分であるはずもないです。

こんな記事を見つけました。

外国からの安い労働力が支える、女性のワークライフバランスはありか?デンマークで話題

日本は、外国のいいところだけを見て、日本は遅れているとかダメだとか言い始める人がいますが、どんな国にも、長所もあるし短所もあります。

例えば、社会保障が進んでいる国は、税金も高いわけです。

女性が社会でいい仕事をするためには、家事や子育てを支えてくれるオペアが必要だというわけですが、その仕事をするのは外国人で、拘束時間も長いし、待遇もよくはないわけです。

人件費が安いと海外進出するとか、技能実習生制度を作るとか、ここで話題のオペア制度とか、結局は、安い労働力を使おうとしているわけです。

人間関係に左右されるし、原則孤独な仕事ですから、シンガポールや香港で働くフィリピンの女性たちは、日曜日になるとみんなで集まる広場があるんだそうです。

社会進出とかいっても、国によっては、男が働かずヒモ状態で、女性が働かざるをえないとか、離婚が多くて、シングルマザーが働かざるをえないとか、まあ、いろいろな事情も違ったりして、一概には言えないわけです。

統計とか、いくらでも操作可能です。