このところ、エナジードリンク「レッドブル」の創業者の孫が8年前に起こした交通事故の件で、誰かがお金をもらって、起訴を取り下げたのではないかとの噂にタイ国民が怒っているわけですが、もう一度、調査が始まるようです。
エナジードリンク「レッドブル」はタイではKrating Daeng (クラティン・デーン) という名前で知らない人がいないほど有名ですが、トレードマークは、赤い猛牛がまさに頭をぶつけ合おうとしているデザインです。
これを飲んだら赤い猛牛のようになれるということなんでしょうけど、タイでは、このKrating Daengと聞いて、別のことを思い出す人びともいます。
それは、1976年10月6日に起きた血の水曜日事件でタイの民主化運動と言えば、1973年10月14日に起きた血の日曜日事件とともに有名です。
詳しいことはwikiを読んでいただきたいのですが、今、この「血の水曜日事件」のことが再び話題になっているそうです。
それは、このところ、新コロナの国内感染者も2ヶ月以上出ていないことなどから、反政府集会がタイのいろいろなところで開かれているわけですが、今度は、それに反対する勢力が明日集会をすると発表しているそうです。
学生たちが要求しているのは、「プラユット現政権の退陣」、「国会解散」、「憲法改正」の3つが主なものだそうですが、王室を誹謗するプラカードを掲げていた学生がいたことが大きな話題となっています。
過激なことをすれば、それに反対する側も過激になるわけで、実際には、仕組まれたものなのか、タイの場合にも、いろいろな裏があるからわからないですが、事態は、1976年のようになっていると言っている人たちもいます。
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1973年以降増大する左派勢力に軍部などが援助した右派勢力にクラティンデーン、ナワポン、ルークスア・チャーオバーン、ビレッジ・スカウト、職業学生センター(職業学校生徒)が拮抗し、1976年7月15日に全国学生評議会が結成される。
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1976年10月4日のタンマサート大学サッカー場で行われたタノーム元首相帰国抗議と断罪要求集会に、約10,000人が集まり同大学演劇部の学生は、9月25日に殺害された地方配電公社青年二名を追悼する寸劇を上演、この劇中では武装するタノーム元首相役と警官に虐殺され首を吊される二人の青年役の様子があり、新聞に写真付で報道された。
10月5日、この新聞記事に虐殺の青年役はワチラーロンコーン王子に似ていて王室侮辱だ、と言いがかりをつけ、民間右派集団のクラティンデーン、ナワポンが大学周囲を囲み抗議活動を行う。
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この右翼組織であるクラティンデーンですが、スッサーイ退役少将率いる過激部隊で、王室のためなら命を捨てるという猛者たちの集まりだそうです。
今もこの名前で継続しているのかどうかは知らないですが、それに近い部隊はあるのではないかと思います。
それと、明日、王室を侮辱した学生たちに抗議する集会を開くのは、職業学生センターなんだそうです。
裏に軍がいそうなイメージもありますが、職業訓練学校の生徒たちは、普段からいろいろと暴れているようで、実戦には強そうですから、大学生たちとぶつかったら、もう勝敗は決まっていそうですし、そうした混乱が起きると、また、血なまぐさくなりそうで、そちらの方が恐ろしいです。
昨日はラマ10世のお誕生日だったわけですが、学生たちの裏にいると言われている元新未来党のピヤブットは、当てつけなのか、自分のフェースブックにフランス革命を描いたと言われるドラクロワの「民衆を導く自由の女神」をアップしたことも批判されています。
まあ、主義主張は個人の自由ですが、自分が安全なところにいて、学生たちを煽るのでは、タクシンたちと同じで英雄にはなれませんね。
ラマ9世の遺産といいますか、タイ人の間には、王室を支持している人たちが多いですし、少なくとも王室を倒すという勢力に対する反発はあるわけです。
反政府の主張はわかるが、王室に対しての過激な否定は許さないというのが、50歳以上のタイ人の多くの考えのような気がします。
とにかく、健康と平和が大切ですよね。