私の青春時代には、ベトナム戦争がまだ終わっていないこともあって、反戦運動とか反政府運動とかも世界中であった時代でしたが、それと同時に、音楽ではロックとか、映画や演劇ではアバンギャルドといわれる前衛の作品がもてはやされていました。
ビートルズは、我々世代の流行の最先端という感じで、ビートルズが解散した後のジョンレノンの曲は、イマジンなど若者に大きな影響を与えました。
60年代のヒッピー文化は、若者描く理想郷で、自由で平等で平和な世界を夢見ていたわけです。
歴史を見ても、フランス革命でもロシア革命でも、抑圧されてきた市民が権力を倒そうとして立ち上がったわけで、いつの世の中にも、富めるものと貧しいものとの格差はあるわけで、いろいろな問題に気が付いた若者が、行動を起こします。
いま世界が注目しているウクライナですが、あのあたりの歴史を見ると、本当に複雑だなあと思います。
戦争は悲惨で苦しむのは一般市民なわけですが、戦後の占領軍によって洗脳されたような、一方が悪で、もう一方が正義といった極論は間違いだと思います。
どちらにも言い分はあり、どちらにも間違いがあると思います。
アメリカの日本に落とした2発の原爆や大都市への無差別絨毯爆撃は、間違いなく国際法違反です。
戦争は、あくまで軍事施設と軍人への攻撃が許されているだけで、非武装の民間人を大量虐殺することは許されません。
ソ連の、旧満州での民間人虐殺や捕虜の強制連行と強制労働も国際法違反です。
戦争の反対側にある理想郷ですが、ジョンレノンのイマジンの歌詞も、彼自身が語っているように、共産主義のマニフェストを砂糖でコーティングしたものだとのことで、彼自身は共産主義者でもなければ、特別な運動に参加しているわけではないけど、理想郷を考えれば、だれでも、同じようなことを考えるのではないかと思います。
だから世界的な大ヒットとなり、今でも歌い継がれているわけです。
私も、ビートルズがインドに行ってインド哲学を学んだと聞けば、ヨーガの本を買って読んでみたり、東京キッドブラザースがサクランボユートピアを計画していると聞けば、劇団事務所に行って会員になったりしたものでした。
会員になっただけで、実際には何もしなかったし、あとから聞いた話では、どうもうまくいかなかったようです。
今でも活躍している山岸会という団体がありますが、若いころには興味を持ったこともありました。
若いころには、理想を追いますから、平和とか平等とか自由という言葉に過剰反応をしてしまいがちですが、理想と現実というか、言うは易し行うは難しのようです。
ヨーロッパに行った70年代のはじめ、あちらで出会った日本人の中には、イスラエルのキブツで働いていたといった経歴を持つ人が数人いました。
やはり共同体とか聞くと行ってみたいと思う若者は多いのでしょう。
みんな平和の理想を追いながら、時には憎しみあって、争うことも世界の歴史にはよくあることで、当事者以外にはなかなか本当のことがわからないものです。
今は、SNSなども情報戦争で、フェイクニュースが山のように流れています。
何が本当なのかを見極めるためには、いろいろと異なった意見を見て、その中から、自分で判断する以外ないですが、その判断が正しいとも限らないからむつかしいですよね。
新型コロナにしてもウクライナにしても、ストレスが溜まりますから、時には、こういったものを見て、ストレス発散をしてもいいのではと思います。