血液検査の結果が出るまでに、1~2日かかり、少年たちが帰宅できるのは、1週間後になるだろうとのこと。
すでに、集中治療室のガラス越しに、家族は少年たちの元気な姿を見ているそうで、一両日中には、少年たちから2メートルくらいまでは、近付かせてもらえるようです。
少年たちは、ガパオライスを食べたいと言っているようですが、まだ、刺激物はとらせないとのこと。
洞窟内に残っている少年4名とコーチ1名、それから、少年たちに付き添っている医師1名、潜水などの訓練をしているタイ海軍の兵士たち3名が、今日中に洞窟から出るべく、すでに活動をはじめているそうです。
救助活動に参加している外国人が、救助する順番は、衰弱の激しい少年たちからだと、海外メディアに話しているそうです。
ですから、まだ残っている5名は、かなりの体力はあるのではないかと思われます。
1日目には11時間かかった救出作業が、昨日は9時間だったそうです。
今日、全員が無事に洞窟から救出されることを祈ります。
洞窟のあるチェンライですが、タイで一番北にある県で、西側はミャンマーと東側は、メコン河を隔ててラオスと接しています。
ミャンマーとの国境の町が、メーサイです。黄金の三角地帯があるのが、チェンセーンで、船で対岸のラオスにも渡れますし、中国からの船もメコン川を下ってきます。
最近は、中国が上流に複数のダムを造っているので、水量が減って、船の運行に支障をきたしたり、逆に洪水の危険があったりと、いろいろな問題も起きています。
この一帯には、中華民国の残党も残っていた時代もあり、昔から、多くの山岳民族が暮らしてきている一帯です。
山岳民族は、国境という概念がないので、時にはミャンマー、時には中国、時にはタイと、移動して暮らしていました。
この辺りは、昔から芥子の花の栽培地として有名で、麻薬取引でも有名でした。ラマ9世が、麻薬よりもコーヒーなどの作物を栽培するプロジェクトを立ち上げ、山岳民族たちの教育にも力を入れて、今では、麻薬の栽培はありません。
あの洞窟のあたりも、かっての麻薬の秘密ルートではないかといった話もあるそうです。
山岳民族の国籍問題もあって、タイは、タイで暮らしてきている人たちには国籍を与えていますが、まだ、無国籍に人たちもいます。
今回の洞窟に閉じ込められている少年たちを率いているコーチですが、(Ekapol Chanthawong25歳)、10歳の時に両親を亡くした身寄りのない子で、お寺の下働きをしながら成長したそうで、僧侶としての経験も長くしているそうです。
まだ未確認ですが、国籍問題を抱えているという話もあって、彼は、自分が子供たちに対して、今回のようなことになってしまった責任を感じていることもあって、かなり悩んでいるそうです。
食糧や水も自分が一番最後にしているようで、衰弱も激しかったようです。
全員無事に救出されて、コーチの彼も、安心して眠れる日が来ることを祈ります。
今回、彼らのサッカーチームの名前(ムー・パー・アカデミー)が、有名になっていて、意味が、イノシシなので、英語でboarとかwild boarとか呼ばれています。
米国の電気自動車テスラのCEO であるイーロン・マスクが、今回の救助活動に協力すると開発した子供1人が入れるmini潜水艦の名前をWild Boarとして、プロトタイプをすでにタイに運び込んでいるそうですが、今回の救助活動には使われないようです。
今回の救助活動では、子供用のフルフェースマスクが注目されています。
フルフェースですと、酸素ボンベからの空気を口にくわえて呼吸しなくても、鼻から普通に呼吸が出来るので、初心者でもパニックになることが少ないのだそうです。
最新のモノには、無線による通信装置もついているし、万が一、水がマスクの中に入っても、マスクを正面から押せば、水が抜ける構造だそうです。
このマスクがあるから、泳げない子供でも、ダイバーの援助で、なんとか、3時間も水中を移動できているようです。
こちらも、日本は、これから、フルフェースマスクなどの道具の開発や、救助訓練など、国際的に活躍できるよう、がんばって欲しいですね。
自衛隊も、海外では、軍事活動ではなく、救助活動をメインにしたらいいのにね。こういった世界中のメディアが注目しているときには、いい広報活動が出来ます。
40年前に訪れた山岳の村で見た少年たち
そこで飼われていたイノシシ