ルアンポークンパリスットー僧という、タイ人から尊敬されている高僧が、2015年5月16日に92歳で死去されました。
ルアンポークンと呼ばれている高僧が、なぜ有名になったかというと、1993年に東北タイの大都市ナコンラチャシマ(コーラート)のホテルが倒壊し、137人が死亡、227人が負傷した大事故で、現場にいた人のうち、ルアンポークンのお守りを持っていた人全員が助かったといううわさが広がり、霊験あらたかな僧として人気になりました。
政治家や財界の人たちもよく面会を求めて、お守りなどをもらっていたとか。
タイのお坊さんは、自分のお守りを作って、それでお寺の改築費などのために寄付を集めるわけで、そのお守りに付加価値が付いて、多くのコレクターたちが、例えば、数百万から数千万と信じられないような高額で取引をしています。
大きな事故で、生存者がいると、その人が首からさげていたお守りにとんでもない価格がつきます。
あと、昔から、銃弾を避けるというお守りがあって、タイのヤクザとか、麻薬や密輸などをしている悪党たちに大人気だそうです。
高僧に、腕などに、金の小さなお守りを埋め込んでもらっている人もいるそうです。
口は災いの元といいますが、タイ人の中には、人から命を狙われたり、自分の希望を叶えるために、お守りを口に含んで生活をする人もいるそうです。
タイ人は信心深いのですが、現世利益を求める人も多く、ご利益のあるお守りとか、宝くじの当選番号の預言とか、運勢を見てくれる僧とか、いろいろあるわけです。
話をルアンポークンに戻しますが、生前に、遺言で遺体をコンケン大学医学部に献体し、返還された後、簡素な葬儀を行い、遺灰をメコン川に散骨するよう希望していたそうです。
ところがどっこい、信心深い人たち、特に、権力者とか金持ちたちは、ご利益を求め、盛大なるお葬式をしちゃうわけです。まるで、国王陛下の葬儀の時のような建物を作り、そこで、火葬の儀式をし、全国から、数十万人の信者たちが集まったそうです。
その仮葬の儀が無事終わり、今日は、メコン河に散骨する儀式が執り行われるそうで、多くの船が出るそうですが、一般市民が、散骨した下流で、水をすくって持ち帰ることが考えられるとか、厳重な取り締まりをしているそうです。
遺言通り、質素なお葬式をして、こっそりと散骨した方が、余計なことを考える人もいなかっただろうにね。
お釈迦様でもキリストでもそうですが、はじめは、偶像崇拝などを禁止しているわけです。
それをまわりが、いろいろとやり始めて、腐敗もはじまると、個人的には考えます。
誰もが、ご利益を望むわけですが、そのために、権力者やお金持ちが、免罪符のようなモノを作ってより多くのご利益を得ようとするのは、間違いだと思います。
まあ、文化とか、宗教団体としては、豪華絢爛の方が、価値があるんでしょうけどね。
宗教のご利益で世の中が変わるのなら、こんな世の中ではないと思っています。歴史を見ても宗教戦争や宗教でのトラブルが多いです。カルト宗教大嫌いです。