2020年11月18日水曜日

タイの憲法改正について

 タイの7つの憲法改正案

1.与党提出案

選出されたメンバーによる委員会が120日以内に新しい憲章を草案。君主制に関する第1章と第2章はそのままに。

2.野党提出案1

選出されたメンバーによる委員会が240日以内に新しい憲章を草案。君主制に関する第1章と第2章はそのままに。

3.野党提出案2

上院議員の権限を取り除くために、第270条と第271条を変更する。

4.野党提出案3

上院議員が首相を選出する権限を取り除き、非議員を首相にすることを不可するために、第272条を変更する。

5.野党提出案4

国家平和秩序評議会(NCPO)の国家安全保障命令を取り消すために第279条を変更する。

6.野党提出案5

選挙制度を1997年の憲法(いわゆる人民憲法)に沿った選挙制度に戻す。

7.iLaw提出案

10の要件

1.憲法改正を議会を通じてより容易にする。

2.任意の章/条の改正を許可。

3.NCPOが命じた国家安全保障命令を取り消す。

4.選挙で非選出の地方行政機関を認めない。

5.非議員が首相になることを禁止する。

6.NCPOメンバーに対する恩赦を禁止する。

7.上院議員の権利を削減。

8.首相を選出する上院議員の権限を取り除く。

9.完全に選出された起草委員会が憲法を改正する。

10.独立機関の新しいメンバーを求める。


2007年タイ王国憲法

 第一章 総則

 第一条(国の不可分性)

 タイ国は一体、不可分の王国である。


 第二条(統治制度の原則)

 タイ国は国王を元首とする民主主義制度統治をとる。


1997年タイ王国憲法

 第一章

 総則

 第一条(国の不可分性)

 タイ国は一体、不可分の王国である。


 第二条(統治制度の原則)

 タイ国は国王を元首とする民主主義制度をとる。 


2007年タイ王国憲法

第二七〇条(参議院の罷免権限)

 内閣総理大臣、国務大臣、衆議院議員、参議院議員、最高裁判所長官、憲法裁判所長官、最高行政裁判所長官もしくは検事総長の地位にある者に、異常蓄財、職務上の不正、公務上の地位・義務に対する違反、司法上の地位・義務に対する違反、または憲法あるいは法律の規定に抵触する職務権限の故意の行使がある、あるいは倫理標準への重大な違反または不遵守があった場合、参議院はその者を罷免する権限を有する。

 第一段の規定は以下の地位にある者にも適用する。

 (一)憲法裁判所判事、選挙委員、国会オンブズマン及び国家会計検査委員。

 (二)汚職防止取締についての憲法付属法令に基づく裁判官もしくは判事、検察官または国の高官。


 第二七一条(両院議員・国民の弾劾請求権)

 衆議院議員は現有衆議院議員総数の四分の一以上の連名で、第二七四条に基づき参議院が第二七〇条に基づく者の罷免を決議するよう参議院議長に請求する権利を有する。その請求にあたってはその者の容疑の経緯を事項ごとに明記しなければならない。

 参議院議員は現有参議院議員総数の四分の一以上の連名で、第二七四条に基づき参議院が参議院議員の罷免を決議するよう参議院議長に請求する権利を有する。

 選挙権を有する国民は二万人以上の連名で第二七〇条に基づく者を第一六四条に基づき罷免するよう請求する権利を有する。


 第二七二条(国家汚職防止取締委員会の調査)

 第二七一条に基づく請求を受理した時、参議院議長は速やかに調査のために国家汚職防止取締委員会にその件を送付し、国家汚職防止取締委員会は速やかに調査を終える。

 調査を終了した時、国家汚職防止取締委員会は報告を参議院に提出する。その報告では請求のあった容疑について確証の有無、証言の信憑性を明記し、どのような手続を取るべきかについての決定を示さなければならない。

 国家汚職防止取締委員会が請求に基づくいずれかの容疑が重要だと判断した場合は、その事項に関する報告を作成し、先に審議するために第一段に基づき参議院に送付することができる。

 国家汚職防止取締委員会がいずれかの容疑に確証があると現有委員総数の過半数の票数で決議した場合、容疑を受けた者はその日から参議院の決議があるまで職務を継続することはできず、国家汚職防止取締委員長は第二七三条に基づく手続きをなすために参議院議長に、ならびに最高裁判所政治職者刑事訴訟部に告発するために検察総長に、見解を付した報告及び現有する書類を送付する。ただし国家汚職防止取締委員会が容疑には確証がないと判断した場合は、その容疑は棄却される。

 検察総長が第四段に基づき国家汚職防止取締委員会が送付した報告、書類及び見解が訴訟手続きには不十分だと判断した場合、検察総長は不十分な事項を是正するよう国家汚職防止取締委員会に通知する。その場合、国家汚職防止取締委員会及び検察総長は、同人数の双方の代表で構成する作業部会を設置し、十分な証拠を収集させ、訴訟手続きのために検察総長に送付させる。その作業部会が訴訟手続きに係る解決策を見出せない場合、国家汚職防止取締委員会は自ら告訴するか、弁護士を任命して告訴を代行させることができる。


第二七九条(倫理コード)

 政治職者、公務員もしくは国の職員のそれぞれの倫理標準は定められた倫理コードに従う。

 第一段に基づく倫理標準は効率的な適用のための実施メカニズム及びシステムを有していなければならず、行為の程度に基づく罰則段階を定めなければならない。

 第一段に基づく倫理標準への違反もしくは不遵守は規律違反行為であるものとみなす。政治職者による違反もしくは不遵守の場合は、国会オンブズマンが国会、内閣、または関係する地方議会に報告し、重大な違反行為であれば第二七〇条に基づく罷免事由であるものとみなし、審査のため国家汚職防止取締委員会に提出する。

 国権行使に係る地位に就任する者の審査、選考、選出もしくは任命、ならびにその者の異動、昇級、昇給及び処罰においては、道徳システムに従い、その者の倫理状況を考慮する。