タイと中国との関係は長く、タイの最初の王朝といわれているスコータイ王朝の時代から続いてきています。
スコータイの近くにあるシーサッチャナーライは、中国からもたらされた陶器製法で作られた宋胡禄が有名で、中国商人の手で日本をはじめ世界に輸出された記録があるそうです。
そしてその次の王朝であるアユタヤ王朝の時代にも、中国商人たちは活躍し、中国人もタイに住み始めたようです。
日本人も海を渡ってきていて、日本人町跡がアユタヤには残っています。
アユタヤは、ヨーロッパとアジアを結ぶ海のシルクロードの中継地として栄えたそうです。
アユタヤ王朝は、ビルマ(ミャンマー)によって滅ぼされましたが、そのビルマを追い払ったのが、潮州人のタークシン(中国名: 鄭昭)で、トンブリ王朝を開きましたが、一代で、現王朝のラマ1世によって追放されたそうです。
そして、現ラタナコシン王朝が、栄えていったわけですが、中国人商人たちが、今の中華街などを中心にかなり多く住み始め、経済活動を行っていたそうです。
天秤棒一つで苦労して外国で商売をするわけですが、刃物の商売から始まるそうで、包丁を使う飲食業、ハサミを使う洋服屋と理髪店だそうです。
もちろん闇商売も中国人は得意です。
ラマ5世の時代は、ちょうど日本の明治天皇の時代と重なりますが、ラマ5世は、近代化を進め、タイにあった奴隷制度を廃止したそうで、人頭税問題はあったものの中国人の地位もかなり向上したそうで、今でも中国系タイ人はラマ5世を尊敬している人たちが多いです。
前置きがめちゃくちゃ長くなってしまいましたが、タイと中国人との関係は長くて深いワケで、戦後のタイの首相にも中国系タイ人がたくさんいます。
中国系タイ人でない首相を探す方がむつかしいくらいです。
移民1世はタイの国籍を持っていませんでしたし、言葉も不自由でしたが、2世3世となると、タイの学校に通い、タイ語を話し、タイの名前を名乗り(通名ではない)、タイの国籍を得て、中国系タイ人となるわけです。
今では、商人だけでなく、政治家や公務員(軍人や警察官を含む)や技術者や経営者になる中国系タイ人も多いそうです。
さて、本題に入りますが、昨年から、タイで暗躍する中国人マフィアが話題になっています。
中国からやってきて、タイやカンボジアなどで暗躍する中国マフィアは多いわけですが、麻薬や密輸や違法カジノや人身売買などで大儲けをしているとか。
タイの元風俗王として有名なチューウィット氏が、彼らのことをメディアで取り上げ、警察や政治家との関係を告発してきています。
チューウィット氏は、元々タイの巨大ソープランドを何軒も経営していたお金持ちですが、足を洗って政治家に転向し、その後、不動産売買に関するトラブルで海外に逃げたり、最終的に服役したりして、まあ、波乱万丈の中国系タイ人です。
そんな告発された問題の中から、中国人がタイにやってきて、観光ビザから長期ビザを取得し、その後、いつの間にか、タイに帰化している不思議が取り上げられています。
世界中で、外国人がビザをとったり、労働許可を得たり、永住許可や市民権をとるのは、なかなか大変で時間もお金もがかかります。
タイの場合、永住許可をとるのも大変ですが、そこから帰化してタイの国籍を取るまでには、最短でも永住権取得後5年かかります。
なのに、中国人マフィアなどは、タイの公務員やマフィアなどの伝手で、あっという間にタイ人に成りすましているそうです。
一番有名なのは、田舎の役人で死亡したタイ人の戸籍を売っている人がいるので、その戸籍を得てタイ人に成りすまし、あとは、それがバレないように、自分のまわりにいる有力者に守ってもらうんだとか。
あとは、イミグレーションの役人や警察官を抱き込む方法もあるとか。
中国人にもまっとうな人たちもいますが、中には、法律は破るためにあるとか、お金のためなら法律なんか関係ないという人もいるわけです。
日本人なんか、カモがネギを背負って暮らしているようなもので、彼らの手にかかったら、イチコロでしょうね。
日本は、タイと同じでもう相当食い荒らされていそうです。