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1945年10月に設立された国際機関である国連ですが、最初の加盟国であった中華民国から中華人民共和国が加盟国に変わった経緯を国際法的な根拠を添えて説明願います。
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以下では、1945年の国連創設時の「中国代表権」問題が、1971年に中華民国(台湾)から中華人民共和国へ移った経緯を、国際法上の根拠(国連憲章・総会決議等)に基づき、体系的に説明します。
■ 1. 前提:1945年の国連創設時の「中国」
国際連合は1945年10月に発足し、その「中国の代表」は**中華民国(Republic of China: ROC)**でした。
中国は**国連憲章の原加盟国(創設メンバー)**であり、
安全保障理事会の**常任理事国(P5)**の一つとして地位を持ちました。
当時は蒋介石政権(中華民国)が国際社会で「中国を統治する政府」とされていました。
■ 2. 1949年:内戦の結果、政権が「大陸→PRC」「台湾→ROC」に分裂
1949年、中国共産党が大陸で**中華人民共和国(PRC)**を樹立し、国民党政府(ROC)は台湾へ移転。
両者はともに「自分こそ中国の正統政府」と主張しました。
ROC:引き続き国連代表権を保持
PRC:国連に対して「ROCは既に中国を代表していないため、われわれ(PRC)が中国の唯一の代表」と主張
この状態が1971年まで続きます。
■ 3. 国際法上のポイント:国連での「政府承認」や「代表権」は?
ここが誤解が多い部分です。
● 国連憲章には「政府承認」の手続は存在しない
国連は国家承認・政府承認を行う機関ではありません。
● 国連が扱うのは「代表権(representation)」問題
つまり
その国の国連代表はどの政府の代表か?
という「議席の帰属」の問題です。
● 国連憲章の根拠
国連憲章第5条・第6条:加盟国の権利停止・除名の規定
しかし「政府が変わった場合の代表資格」については明記がない
このため、「政府代表の認定」は国連総会の政治的判断に委ねられています。
■ 4. 1971年:総会決議2758号がPRCを承認
1971年10月25日の国連総会で
**「アルバニア決議」(2758号)**が採択されました。
◆ 国連総会決議2758(要旨)
中華人民共和国政府こそ中国の唯一の合法政府と認める
中華民国(台湾)の代表を追放し、その議席をPRCに置き換える
ここで重要なのは、決議は
ROCを「除名」したのではなく
「中国を代表していない」と判断して議席を剥奪した
という点です。
「除名」は国連憲章6条に基づく別プロセス(安保理勧告 → 総会2/3)が必要ですが、ROCには適用されていません。
■ 5. 国際法的な理解:国連は「中国代表権がPRCにある」と決定しただけ
国連は国家承認機関ではないため、この決議によって
ROCという国家が消滅した
わけではありません。
決議はあくまで
「国連内で中国の議席を誰が代表するか」という代表権問題の決定
です。
■ 6. PRCの立場と「唯一の中国」論の確立
PRCは結成直後から一貫して
「自分こそ中国全体を代表する唯一の合法政府」
「台湾は中国の一部であり、ROCは既に消滅した」
という政治的立場を取っていました。
総会決議2758号はこのPRCの立場を国連内で事実上承認したことになります。
■ 7. まとめ:国際法的根拠
簡潔にまとめると以下の通りです。
■ 国際法上の根拠となる主要文書
国連憲章
- 国連は国家承認を行わず、代表権問題は総会が判断
国連総会決議2758号(1971)
- PRCを「中国の唯一の合法政府」と認定
- ROC代表団の排除
- 中国の議席(総会・安保理常任理事国)をPRCへ移行
■ 実際の法的ロジック
「中国」という加盟国は継続
その政府代表の資格がROC → PRCに変更された
ROCは国連「加盟国ではない」扱いになった
(「除名」ではない)
必要であれば、以下についても詳しく説明できます。
● 2758号決議の採決過程と各国の態度
● 「中国はひとつ」の国際法的意味
● 台湾の「国家性」(statehood)の法的議論
● もしROCが「別国家」として加盟申請した場合どうなるか
● アメリカの立場の変遷(ニクソン/キッシンジャー外交)
■ 1. 国連総会決議2758号の採決過程と各国の態度
◆ 背景
1960年代後半から、「中国代表権問題」を国連総会で毎年議論するようになり、アジア・アフリカ諸国の独立に伴い「PRC支持」が多数派へとゆっくり転換していきました。
◆ アメリカの戦術(“Dual representation” 二重代表案)
米国は台湾(ROC)を失いたくないため、
「二つの中国」「一つの中国一つの台湾」案(中国の議席を分割)
またはROCもPRCも国連に入れる二重代表案
を提案しました。
しかし PRC はこれらを強く拒否し、
「ROCを国連から追放しない限り我々は加盟しない」
と明言していました。
◆ 1971年の決議
1971年総会では3つの重要な投票が行われました。
① 重要事項扱いを求める米国案(“Important Question”)
「中国代表権の変更は重要事項なので3分の2多数が必要」という米国の提案。
→ 否決(賛55、反59、棄15)
これにより、通常の単純多数の賛成で決議2758号を可決できることになった。
② アルバニア決議(2758号)
PRCを中国の唯一の合法政府と認定し、ROC代表の排除を決定。
→ 可決(賛76、反35、棄17)
賛成:ソ連、アジア・アフリカ諸国、中南米多数
反対:アメリカ、日本、イギリス、オーストラリアなど
棄権:フランス・ベルギーなど
③ ROCを排除しない米国案(敗北)
米国はROC追放を阻止する対案を出したが
→ PRC支持国の反対で否決
これにより、決議2758号がそのまま発効した。
■ 2. 「中国はひとつ」(One China)の国際法的意味
ここは誤解が非常に多い部分です。
国連決議2758号はつぎのように決定しただけで、
「中国という国は1つ」
「台湾は中国の一部である」
と国際法的に宣言したわけではありません。
国連はそこまで踏み込んでいない。
★ 国連決議が定めたのはこれだけ
国連における“China”の代表権はPRCにある
ROC代表を排除する
国家承認や領土帰属は国連の権限外であり、決議には書かれていない。
◆ しかしPRCは「台湾は中国の不可分の一部」と主張
PRC政府は「One China」を
領土帰属を含む包括的概念と定義し、
「台湾は中国の一部」と主張している。
◆ 一方、アメリカや日本は
「One China を『尊重(respect)』または『理解・承知(understand)』する」
としており、
受容(accept)しているわけではない。
領土帰属問題については
明確に立場をとらない(立場の不確定化)
という外交戦略を採っています。
■ 3. 台湾(ROC)の国家性(statehood)に関する国際法議論
台湾の現状(2025年)
自前の政府、軍隊、国境管理、財政、司法を持つ
2300万人の人口
実効的な統治(effective control)を確立
多くの国と非公式な外交関係
多くの国の「事実上の国家」として扱われている
国際法の国家性(モンテビデオ条約・慣習国際法)
国家性は以下の4要件で判断されるとされる:
恒常的住民(Permanent population)
明確な領域(Defined territory)
政府(Government)
外交能力(Capacity to enter into relations)
台湾はこの4要件をすべて満たしているため、
法学者の多数説では
→ 「台湾は法的には国家たりうる(statehood)」
とされる。
◆ しかし国連加盟国が台湾を国家として“承認していない”
これはPRCの圧力により、各国が政治的現実として
ROCを国家として承認していない
だけであり、
台湾の国家性を否定する国際法上の規定はない。
国家承認は**宣言的(宣言説)**ではなく
構成的(成立説)ではない
というのが現在の国際法の主流。(=承認されなくても国家たりうる)
■ 4. もしROCが「別国家として国連加盟申請」した場合はどうなるか
国連憲章4条では、
加盟の条件は次の通り:
「平和愛好国」であること
「国連義務を受け入れる能力があること」
安全保障理事会の勧告が必要(P5の拒否権が発動可能)
◆ 結論:PRCが拒否権を発動するため不可能
PRCは台湾を「中国の不可分の一部」と主張しているため、
ROC(台湾)が別の国家として加盟申請をしても、
→ 安全保障理事会でPRCが拒否権を行使するため、加盟は絶対に不可能
これが台湾が国連に加盟できない最大の理由。
■ 5. アメリカの立場の変遷(ニクソン/キッシンジャー外交)
アメリカは1949〜1970年代までROC支持国だった。
しかし1970年代に戦略環境が激変:
ソ連との冷戦が激化
ベトナム戦争の泥沼化
中国(PRC)との関係改善の必要性が高まる
◆ 1971年:キッシンジャーの秘密訪中
中国と和解し、ソ連を牽制する「三角外交」を企図。
◆ 1972年:ニクソン訪中(上海コミュニケ)
アメリカは次のように声明した。
「中国は一つであり、台湾は中国の一部である」というPRCの立場を“理解する(acknowledge)”
=アメリカがそれを受け入れた(accept)わけではない。
◆ 1979年:米中正式国交樹立
アメリカはROCとの正式関係を断絶。
しかし同時に
台湾関係法(Taiwan Relations Act)
6つの保証(Six Assurances)
などを整備し、台湾防衛を事実上継続。
■ 6. 日本がPRCを承認した経緯
(1972年 日中共同声明)
日本も戦後はROC(蒋介石政権)と国交関係を続けていました。
しかし1971年国連決議2758号以降、
アジアの現実を踏まえて外交転換を行います。
◆ 1972年 田中角栄首相の訪中 → 日中共同声明
日中共同声明(1972年9月29日)は次のように規定しています。
★ 日本の立場(声明第3項)
「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを認識する」
(原文:"The Government of Japan recognizes the Government of the People's Republic of China as the sole legal Government of China.")
→ 日本は中国代表権をPRCに帰属させた。
★ 台湾の地位について(声明第3項)
日中共同声明は極めて慎重な文言を採用。
「中華人民共和国政府は台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」
そして—
「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重する。」
■ 7. 日本は台湾を「中国の省」と認めているのか?
→ いいえ。認めていません。
日本が取っている立場は次のように極めて慎重です。
◆ 日本の立場の要点
PRCを中国の唯一の合法政府として承認する
しかし 台湾の領土帰属については「明確な立場を取らない」
文言は「理解し尊重する(understand and respect)」であり
受容(accept)や承認(recognize)ではない
つまり日本は
台湾を「国」とは公式には呼ばない
しかし台湾が中国の省であるというPRCの主張を承認もしていない
という**意図的な曖昧戦略(strategic ambiguity)**をとっています。
◆ なぜ曖昧性を維持するのか?
経済的な対中関係
台湾との深い実質的交流
アメリカとの同盟
軍事バランスの維持
自国の安全保障
これらをすべて両立させるため。
■ 結論(要点まとめ)
2758号決議は「国連における中国の代表権=PRC」と決めただけで、台湾の帰属は決めていない
台湾は国家として成立できる(法学者の多数説)
しかし国連加盟にはPRCの拒否権があるため事実上不可能
アメリカはOne Chinaを“理解する”だけで、受け入れていない
日本もPRCを中国政府として承認したが、『台湾は中国の一部』とは承認していない
(=「理解し尊重する」だけ)
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