昭和の地方都市には、労演といわれる演劇鑑賞の機会がありました。
今から考えれば、労音と同じで、何か、労働組合とか、政治色もあったような気もしますが、当時は、生で演劇を見る事ができる数少ない機会でした。
幼なじみに誘われて見に行った文学座とか劇団民藝とかの生の演劇を見た事は、本当に素晴らしい経験でした。
大道具のお手伝いで、舞台の下準備を経験させてもらったこともありました。
その後、劇団もいろいろと出来て、小劇場とか、アングラとかいわれる劇団もでてきて、今、テレビなどで活躍する大物俳優さんたちも、そうした劇団の出身者たちが多いです。
個人的には、なんか暗くて難しい左翼っぽい劇よりも、小沢昭一さんと加藤武さんと小林昭二さんがそれぞれ独演した俳優小劇場の芝居が好きでした。
今でもその傾向があると思うのですが、演劇界や芸術家には、左翼が多いように思います。貧しい下積み生活を経験している人がほとんどですし、革新的な感性がないと新しい魅力的なモノを生み出せないこともあると思います。
それから、天井桟敷とか状況劇場とか、黒テントとかも見ましたが、どれもエネルギーに溢れて、素晴らしかったです。
海外で暮らし始めてからは、ほとんど演劇は見ていません。
ビデオやDVDが普及してからは、映画も見なくなってしまっています。ネットの普及で、本も読まなくなってしまったし、ますます脳みそのシワも減ってきていることでしょう。
音楽でもそうなんですが、生というのは、素晴らしいことはわかっています。でも、お手軽さがいいと思ってしまうのは、老化現象でしょうね。