マレーシアのペナンでの一番の思い出といえば、胸を張って他人様に話せるようなことではないのですが、わたしの人生の中でかなり恥ずかしい思い出です。
ペナンへは、ビザ更新のために行っていたので、特にすることもなく、退屈で、暗くなってからは、部屋で読書をするかテレビを見ることしかありませんでした。
部屋で読書をしていたら、ドアをノックする音が聞こえたので、ドアを開けてみたら、そこには誰もいませんでした。
あれ? 聞き間違い? と思って、また読書に戻ろうとしたときに、再び、ドアをノックする音が聞こえました。
再び、ドアを開けると、今度は、ドアの外に若い女性が立っていて、マッサージはいかがですかと聞いてきました。
ちょっとアヤシイと思わないでもなかったんですが、外見も悪くなかったし、料金を聞いたら、そんなに高くないから、試してみようと思ってしまったわけです。
部屋に入ってきて、じゃあ、服を脱いでくださいというので、下着にバスタオルをまいた状態で、マッサージを受けました。
すると、今度は、お風呂に入った方が、疲れがとれますとかいって、バスルームに一緒に行って、1人バスタブに浸かったわけですが、女性は、まずシャンプーをしますねと、髪を洗ってくれました。
その時、彼女は、服が濡れちゃったので、ちょっと脱いできますねとバスルームから出て行きました。
わたしは、湯船の中で、シャンプーされたままですから目をつぶり、彼女が服を脱いで、バスタブに入ってくるのかとか、鼻の下を長くして、エロい想像をしていたのですが、いつまでたっても戻ってきません。
その時、やっとはめられたことに気が付きました。
バスルームから濡れた裸のまま飛び出してベッドの上を見ると、そこには、中身の空っぽになったわたしの財布が。財布は、ズボンの後ろポケットに入れていました。
マッサージ料金を前金で支払ったときに、財布がどこにあるのかを知られてしまったのでしょう。
急いで服を着てズボンをはいて、その女性を探しにロビーにおりましたが、すでに姿はなく、ホテルのスタッフにも事情を説明し、協力を求めましたが、時すでに遅し。
その後、腹立たしかったので、警察署までいって、被害届を出しましたが、担当の警察官からは、冷ややかな目で見られました。
考えてみれば、最初のノックで、部屋にいるかどうか、どんな人物かを確認し、マッサージを少ししている間に部屋の様子をチェックし、風呂に入らせて、シャンプーで目を閉じさせ、その後、財布を盗んで逃亡と、まあ、プロの仕業でした。
もしかすると、外部からではなく、ホテルの部屋に常駐してカモを見つけていたのかもしれません。
ビザ更新で、パスポートは、タイ領事館に預けてあったし、航空券はバッグの中で無事でしたが、現金がゼロ。当時は、クレジットカードも持っていなかったので、絶体絶命。
タイのビザの申請料金は前金で支払い済みでしたし、ホテル料金も前金でしたので助かりました。
バンコクの免税店で、たばことブランディーを買って来ていたので、翌朝、それをホテルの従業員にお願いして買ってもらって、それで、タクシー代などを無事に支払うことが出来て、バンコクに戻ることが出来ました。
でも、財布の中身は、たいした金額ではなかったし、捕まるリスクを冒して犯行におよんだ女性も、しけたスケベ野郎だと頭にきていたかも。
今思い出しても、若いときのスケベ心が恥ずかしくなります。