タイは、3月24日の投票日まで、熱い選挙戦が続いているわけですが、Ubolratnaa Rajakanya王女が、タクシン派のThai Raksa Chart Partyの首相候補になると公表してから、現ラマ10世が、王族やそれに準ずる者が政治に関与することは望ましくないと正式に表明し、Thai Raksa Chart Partyは、Ubolratnaa Rajakanya王女を首相候補にすることを取り消しました。
そして、選挙ポスターに王女と候補者を並べる案も、王女を前面に出す予定だった選挙運動も、全部中止になっています。
それどころか、2018年政党法92条にある、政党が憲法上の立憲君主制に敵対的であると思われる行為を犯した場合には、憲法裁判所によって審議の結果、解党もあり得るといわれています。
要するに、王族を政党の宣伝に利用したという見方のようです。
選挙管理委員会が、15日までに結論を出すといわれています。
日本では、タクシン派を美化するニュースが多く、地方の貧しい人びとに支持されている民主的なタクシン派と、都会の中産階級と軍に支持されている反タクシン派という構図が大好きのようですが、実際は、違います。
タクシンが権力の座についた時代を知っていれば、そんな見方はしません。こんな見方をする人もいます。
タクシン派が、地方の農民を中心とした人びとから支持されているのは事実ですが、それは、そういった人びとの票を集めるシステム(票を買う)が確立されているからであって、選挙に強いのは事実でも、単に税金を使ったバラマキのポピュリズムです。
そして、選挙で選ばれた政権ということで、反対するものたちは、反民主主義とやりたい放題してきました。報道規制や司法への介入など、ひどいモノでした。
当時、毎年恒例の国王陛下のお誕生日スピーチで、ラマ9世は、政治には触れませんでしたが、毎年遠回しな表現で、タクシンの独裁を皮肉っていらっしゃいました。
だから、クーデターが起きたときでも、クーデターを支持する人たちがいたわけで、そこから、タクシンたちを批判する反タクシン派は、クーデター支持する軍国主義者だと決めつける戦略をとってきています。
選挙で選ばれても、独裁的な政治をする人もいれば、クーデターで権力を握った政権の方が、選挙で選ばれた政権よりも、まだマシな場合もあるわけで、軍政が反民主的だからといって、タクシン派が、正しいわけではありません。
タクシン派には、ベトナム戦争時代に暗躍した共産主義者たちもいて、彼らが、田舎に潜り込んで、農民たちを洗脳してきていることもあります。
タクシンのために、暴れ回る赤シャツのリーダーたちは、中国共産党からの支援を受けているという話もあります。
軍部でも経済界でも、タクシン支持派と反タクシン派が対立しています。要するに、権力闘争ですね。それにタクシン支持派と反タクシン派(ラマ9世大好き派)に分かれ、一般の国民が巻き込まれているわけです。
さてさて、タクシンには、いろいろな勢力が味方しているわけで、国際的な大資本なんかも関係していると噂されています。
これから、タクシンに、大逆転の裏技があるのか、興味は尽きません。