今回の王女を首相候補にして、一挙にタクシン派が選挙で大勝をという計画が頓挫し、この先が、不透明なタイの政治です。
かって、反タクシン派(黄色シャツ)とタクシン派(赤シャツ)がストリートファイティングを繰り返していたときに、巷の噂話として、赤シャツの集会に、現国王の部下と思われる士官が来ていたとか、タクシンは、現国王に、いろいろと接近を図っているとか、タクシン派だけでなく、反タクシン派も、本当なんだろうかと思っていたわけです。
ですから、今回の王女擁立の話が出てきたときにも、もしかして、現国王は、その計画を知って了承しているのだろうかと、多くのタイ人が、SNSで語り合ったようです。
事前に、ロシアワールドカップの試合をタクシンと妹インラックと一緒に王女が観戦している写真もインターネットに流れていたそうです。
反タクシン派は、フェイクの写真だといっていたそうですが、どうやら、本当だった可能性が強いようです。
そしたら、突然、国王が、「王女が政治にかかわるのは不適切」との公式見解を出したわけで、反タクシン派は、安堵し、タクシン派は、失望したようです。
タクシン派にとっては、勝手に、現国王は、タクシンを支持しているはずだとの思い込みがあったわけですから。
そして、タクシン派には、王族を政治に巻き込んだという汚名が付いてしまいました。
タクシン派の一部は、SNSで戦車が走っているのを見たとか、首相が、軍の人事に介入しているとか、フェイクニュースを流して、人びとを混乱させようとしていたようですが、政府は、すぐにニュースを否定し、犯人捜しをしているそうです。
タイの全国放送通信委員会 (NBTC) が、タクシンの息子が株主をしているVoice TVというチャンネルが、視聴者に混乱を招く畏れのある番組を放送したからと、15日間の業務停止命令を出し、ただ今、視聴できない状態です。
このままだと、タクシン派の政党が解党される可能性もあるし、解党されなくても、今までのように選挙で勝てるかどうかはわかりません。
もしも選挙で勝った政党からの指名でプラユット現首相が再選されたとしたら、彼もまた、民主的な選挙で選ばれた首相ということになり、批判がしにくくなるでしょう。
選挙前に、各政党は、自分たちの首相候補を明確にしています。
今回の件で、失望しているのは、タイのタクシン派だけでなく、タクシンを応援している欧米や日本のジャーナリストたちも、かなりのショックを受けているようです。
一部のジャーナリストたちは、人権とか、格差とか、差別とか、民主主義といったキーワードに弱くて、時に、大きな間違いを犯すこともあるようです。
選挙ポスターも多くなってきています。こちらは、医療用大麻の栽培を自由にというスローガンを掲げている政党。
タイは、医療用大麻の栽培は、許可されましたが、栽培に関しては、いろいろな制約があるようです。