昨年、かなり話題になった映画で、見てみたいなあと思っていました。
映画「カメラを止めるな!」の詳細については、全く知らないで見たので、前評判などから、かなりハードルをあげてみた人とは、見た印章は違うかもしれません。
舞台劇『GHOST IN THE BOX!』のパクリじゃないか疑惑もあるそうですが、まあ、劇中劇とか、舞台裏を見せるアイディアは、ジャンルのひとつととらえていいような気もします。
見終わった感想としては、評価は分かれるだろうなと思いました。
映画とか演劇とか音楽とか、制作の現場や裏方を経験している人とか、興味を持っている人たちは、かなり評価するのではないかと思いました。
実際に、この映画が評判になったのは、芸能界の評価が高く、テレビなどで、有名人たちが、いい評価をしていたからだったような気もします。
ドラマとか映画の現場を知っている人なら、知っている人しかわからない緊張感とか、おかしさなどもあると思います。
一方、制作の現場を知らない人や興味ない人たちにとっては、よく意味がわからないところもあるだろうし、評判の割りには、おもしろくないといった意見もあるのではないかと思います。
映画の制作は、ひとつの企画が生まれてから、いろいろな苦労があるわけで、まずは、お金が必要だし、演者もスタッフも機材も必要です。
撮影に使う場所探しも、大変だと思います。
都市部での撮影だと、交通整理だとか、野次馬対策だとか、騒音とか、いろいろとありそうです。
最近は、テレビなどでもADが登場していますが、アシスタントディレクターと、名前はかっこいいけど、もう奴隷のような下働きです。本当に好きでないと長続きは無理でしょうけど、才能のあるなしがよくわかる仕事でもあると思います。
監督以下、カメラとか音響とか、現場では、照明、大道具・小道具、衣装やメイクなどなど、どの作品にも、ものすごい数のスタッフたちが働いています。
フィルムを使うと、フィルムを無駄には出来ないから、段取りが重要になり、この映画のように、ほとんど一カ所での撮影ならいいけど、いろいろと場所を変えたり、長期間の撮影となると、物語の進行とは無関係に撮影していく必要も出ます。
笑い話に出てきますが、長い撮影ですと、髪の毛の長さとか、日焼けとか、体型などに整合性がなくなるとか、家具とか小道具が変わっているとか、いろいろとあるようです。
メイキングなどを見ればわかりますが、NGもあるし、何度も撮り直すことが一般的ですから、この映画の何が1番すごいかって、最初の37分を一発撮りしていることだと思いますね。
演技する人も、技術スタッフも、周りの人たちすべてが、失敗しないでやらないと無理なわけで、それを知っている人ですと、ドタバタもその場しのぎもおもしろいわけです。
それが、後半で見事な伏線回収となるわけです。
あのシーンの裏には、こうした苦労や動きがあったんだと。失敗も、上手に物語に生かしちゃうわけですね。
制作に携わっている人たちは、青春をかけているというか、食べていけるわけがない収入でも、本当に好きだからやっているわけで、ひとつのモノを作り終えたあとの喜びは、やっている人にしかわからない満足感と快感だと思います。
そのあたりを、あのエンドロールのシーンで、うまく表現していたと思いました。人間ピラミッドの上のカメラでの撮影ですね。
ドローンではダメなわけです。
私は、基本的に、気が小さくて、グロが苦手だから、ただのホラー映画は、ほとんど見ないけど、この映画は、グロいシーンも、リアル感がなかったし、後半で裏を見たから、後味は悪くなくて良かった。
あえて言えば、ヒロインがキャーキャー騒ぎすぎは、苦手でした。