2019年5月9日木曜日

今日のタイは、農耕祭

今日5月9日は、タイでは農耕祭、ワン・プット・モンコン(วันพืชมงคล)です。お役所関係は休みですが、一般企業はお休みではないところが多いようです。

王宮前広場で行われる儀式では、水や酒、玄米、とうもろこし等の農作物を2頭の牛の前にかざし、牛ががどの作物を選ぶかで今年の作物の出来や水の状況を占います。

この儀式は、スコータイ王朝時代から続いているといわれていて、バラモン教の儀式です。

スコータイ王朝というのは、日本の鎌倉時代と同じような時期にタイ中部に栄えた都市国家といわれていますが、カンボジアに栄えたクメール王国の影響を受けた衛星都市であったともいわれています。

はじめてタイ文字を作り出したラムカムヘン大王で有名なんですが、この辺の歴史には、まだまだわかっていないことも多く、一説では、ラマ4世による創作ではないかといった話まであります。

タイは、文字にしても文化にしてもクメールの影響を強く受けてきていますが、クメールが滅び、カンボジアも、混乱が続いて国力が弱まってしまっているので、いつの間にか、タイが、いろいろな文化の起源的な話になっています。

仏教は、インドで生まれ、その後、南下しスリランカで栄え、インドネシアのバリ島から、クメール王国に伝わったといわれていますが、仏教そのものが、ある種の当時の宗教に対する宗教革命で、インドにある階級を否定し、万民が救われるとの教えですから、王制とは、矛盾するところもあるわけです。

そこで、王族は、バラモン教を取り入れて、祭祀を通じて神々と関わる特別な権限を持つバラモンによって、選ばれた王という位置づけをしています。

司祭階級バラモンが最上位で、クシャトリヤ(戦士・王族階級)、ヴァイシャ(庶民階級)、シュードラ(奴隷階級)という、ヒンズー教の階級と基本的には同じです。

タイでは、ラマ5世が奴隷解放を行ったので、奴隷はいませんが、王族と庶民の間には、大きな開きが存在し続けています。

ですから、戴冠式などでもそうでしたが、王宮内など王族に関する儀式には、必ずバラモンの高僧が登場してきます。