今月に入ってから、反政府集会がしばしば開かれていますが、先週の集会では、老若男女がびっくりするようなプラカードを掲げた若者たちがいて、大きな話題になっています。
タイには不敬罪がありますし、政治的な発言を外国人がするときには、非常に気をつけなければならないわけですが、今回のプラカードに書かれていた言葉が、タイ語の中でももっともひどい相手を罵倒軽蔑する言葉だったようで、それが、間接的であったようですが、高貴な方にむけられていたのだそうです。
そんなことは、タイの反政府運動の長い過激な歴史の中でもほとんどなかったことで、今までなら、仲間の間でこっそりと語るような場でもない限り、公にするような言葉ではなかったわけです。
まるでアメリカの反戦運動の頃、F◯◯Kという言葉を若者たちが書いたり叫んだりしているのを見た老女が卒倒したといわれた話を思い出します。
もう遠慮容赦ないという感じで、大きな反響を巻き起こしています。
軍の高官たちも、そういった言葉を使わないようにと若者たちに訴えかけています。
タイには、いまだに非常事態宣言が出ていて、集会などは原則禁止されていますが、政府は、平和的な集会であれば、禁止はしないといっています。
最近の若者世代の考えや行動を見て、厳しく締め付けることは得策ではないと考えているようです。
SNSの力はすごいですから。
今の反政府運動の背景には、昔ながらの共産党過激派も潜んでいるようで、毛沢東時代の「農村から都市を包囲する」とか、「造反有理」とか「革命無罪」の考えもあるわけです。
タイの学生運動も、徐々に地方へを広がりを見せ、それが、バンコクを囲うように集まってきたときが、恐ろしいと思います。
赤シャツ騒ぎの時がまさにそうでした。赤シャツというくらいで、彼らは、今の学生たちよりももっと共産主義色が強かったと思います。
今の日本でもはっきりしているように、反政府的なことをSNSで発信している人たちの多くが、共産党や野党と何らかの接点を持つ人たちです。
日本でも欧米でも、東南アジアでも、民主とか人権とか言っている人たちの中には、自分たちの考えのためなら、非民主的であろうが人権無視であろうが「無罪」であるというトンデモな考え方があるわけです。
あと、学生たちの裏には、外国の諜報機関の暗躍も時にはあるわけです。
学生たちが、昨年の選挙で支持した新未来党も解党になり、党首たちも、ドンドン追い詰められているので、彼らも必死で復活を考えているのでしょう。
でも、学生サイドには、カリスマ的なスターがいないんですよね。
それと豊かに育った世代だから、困難に立ち向かう根性というのか情熱も、昔の活動家とは違うような気もして、猛暑や雨が降ったら、集会やデモではなくて、家に帰ってゲームの傍らSNSでストレス解消とかのイメージもあります。
集会やデモでも、自分がそこにいる写真や映像をSNSにアップして満足というイメージもあります。
米国の大統領選挙を控え、米国と中国との対立も激しさを増している今日この頃ですから、そういったこともタイの政治に関係があるのかもしれません。