2022年9月1日木曜日

洪水の話

タイでは毎年9月から10月にかけて、洪水の季節がやってきます。

日本では9月1日は防災の日だそうですね。

洪水には、大きく分けで3種類あると思います。

ゲリラ豪雨とか台風などで大量の雨が排水できず洪水になることが多く、山岳部や丘陵地帯では、鉄砲水による土石流災害なども起きてきます。

もう一つは、上流に降った大雨が、下流に洪水を漏ららすケースです。 海に流れて行く水量を超える水が、上流から流れてくれば、下流の堤防を越えて洪水が起きます。

そして、最近話題になることも増えてきた、海面の上昇による洪水で、低い海岸付近の土地や河口近くの土地が洪水になります。

河の水が上流から大量の土砂を運んできてできたデルタ地帯は、海抜も低く、上記のいずれにおいても洪水になる可能性が高いです。

現在パキスタンで大変な洪水が起きていて、大きな被害が出ています。

パキスタンやバングラデシュやミャンマーでは、大きな洪水がよく起きていますよね。

パキスタンの場合には2010年の大洪水よりの深刻だそうですが、タイの場合には、2011年にものすごい大洪水で被害が出ています。

今年も例年よりも早く、地方で洪水が始まっていて、先月末から、バンコクの北100ほどにあるアユタヤなどでは、2011年ほどではないまでも、既に洪水が起きているようです。

毎年この時期には、北部に降った雨が南下してバンコクまで到達する時期ですし、この時期には、大潮になると満潮時の海面上昇もあって、河口付近で海から毎水が逆流して、チャオプラヤ河からあふれ出します。

それに加えて、フィリピン近くで発生した台風や熱帯低気圧が、北上しないで、ベトナムからタイ北部にやってくることもあり、それが重なると、大きな被害が出るわけです。

こうした洪水は、被害の大小はあるものの、ほぼ毎年のように起きてきているわけで、洪水対策もそれなりに行われてきているのですが、とにかく、バンコクはチャオプラヤ河などによってできたデルタ地帯で海抜1メートル以下が多く、ゲリラ豪雨だけでも、すぐに冠水してしまうところがかなりあります。

巨大な地下排水路や排水ポンプでの強制排水などでは追い付かないことも多いわけです。

ラマ9世陛下は生前、タイの近代化で水田が減少して、保水量が減少いることから河のまわりに「サルの頬」といわれる保水池を作って、一挙に下流に水が流れ込むことを防いだりもしています。

アユタヤの洪水が、徐々に被害を広げるとバンコクでもいろいろなところで被害が出始めます。

最初は河縁の土地が低いところで、北の方から中華街からシーロムあたりは、時々洪水になります。

バンコクは東洋のベニスといわれたこともあり、水路も多いので、その水路から低地に水が出ることも多いです。スクンビット通りも水が出やすいことで有名です。

あとは水田を埋め立ててできた新興住宅地なども水が出やすいです。2011年には、ドンムアン国際空港やスワンナプーム国際空港のまわりでもかなりの被害が出ています。

日本などから進出してきた企業は、土地の安いところに工場を建てるわけで、アユタヤ・バンパインとかバンナーからチョンブリにかけてに工場が多く、当時は、大きな被害を出しました。

洪水の被害は、家屋への浸水だけでなく、車が立ち往生して水に浸かってしまうとか、流れてきたヘビなどに噛まれるとか、冠水した道路を歩いて、ガラス片とか金属で怪我をするとか、いろいろあります。

物流も途絶えることがあるから、常備薬や食料や飲料など必需品の備蓄も大切です。

タイだけでなく、東南アジア全体は、昔から、洪水との共生の歴史で、洪水でも被害が少ない高床式住居とか、小舟による水上交通とかも一般的でしたが、近代化とともに、水路が道路に埋め立てられたり、建築様式も変わり、高層ビルも多くなっているから、予想だにしない被害が出ることもあります。

新しい環境に適応できるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

稲も洪水の中でも生きていかれるように進化し、浮稲といわれる品種もあります。