2023年5月14日にタイの下院議員選挙が行われ、多くの人たちの予想を裏切り、前進党が最大の得票数を得ました。
ほとんどの予想では、タクシンのタイ貢献党が第1党になるだろうといわれていましたが、結果は第2党でした。
選挙区での当選者数はほぼ同じでしたが、比例代表の方で10議席ほどの差をつけられました。
そして第1党になった前進党を中心に連立の話し合いが現在行われていて、今のところ、8党が手を組むことになり、下院議員数は313人となっているそうです。
タイには、上院があって上院議員が250名いるので下院と合わせて750名の投票で、376票以上を獲得すれば、第30代の首相が決まる予定になっています。
早ければ、8月15日には決まるようです。
今回の選挙では、総得票数4000万票のうちの半数以上を前進党と貢献党で獲得したので、国民から多くの支持を受けたと強気の発言が目立ちます。
前進党の党首ピター氏は、誇らしげで喜びの絶頂のように見えます。
ただ、冷静に判断すれば、今の前進党を中心とした連立以外にも、可能性はあると思います。
それは、何らかの理由で前進党中心の連立ができなくなったケースで、その時には、貢献党中心のシナリオとそれ以外の政党連合による連立のシナリオも可能性はあるようです。
現在、前進党を中心とした政党間にも政策上の相違点はあるようで、特に不敬罪の扱いで意見がまちまちのようです。
他にも王政改革や軍の改革、地方自治の改革など、いろいろと相違点もあるようですし、もっと大きな問題は、前進党党首ピター氏の政治家資格問題があります。
タイでは、マスメディアの株主が議員として立候補することはできない決まりになっていて、4年前の選挙でも、前進党の前身であった新未来党のタナトーン党首が、資格違反で10年間の政治活動停止と、政党法違反で新未来党の解党が決まっています。
今回も同じことになったら、今回の支持者は、1400万人を超えているので、大混乱が予想されます。
もう一つのシナリオは、貢献党を中心とした連立で、これは、以前から噂されてきたパラン・プラチャーラット党の党首で、現政権のプラウィット副首相が、自分の影響下にある上院議員を連れて、タクシンのタイ貢献党と手を組むというシナリオです。
これが現実となれば、タクシン元首相が以前からSNSで繰り返して言ってきた、7月の誕生日までにはタイに帰国するということも実現するかもしれません。
その場合には、法律に従って服役するのか、それとも驚きの恩赦が出るのか、その辺も興味深いです。
こちらのシナリオでも、前進党支持者や反タクシン派の人たちは納得しない可能性があり、混乱する可能性はゼロではないでしょうね。
3つ目のシナリオとして、結局、プラユット首相派とプラウィット副首相派が手を組み、大麻解禁で有名なアヌティン党首率いるタイ矜持党などが連立を組み、上院多数の支持を受けて、プラユット首相政権が続く可能性もゼロではないでしょうけど、こちらも、大混乱が予想できそうです。
要するに、これでタイに民主化が訪れるといった楽観論がどうなっていくのか、予想は簡単ではないかもね。