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2022年9月6日火曜日

森田療法の話

私は、タイのバンコクに滞在し始めてしばらくしてから不安神経症に悩み苦しんだ時期がありました。

バンコクでもいろいろな病院に行きましたが、最終的には、日本人だから日本人の専門家に診てもらう方がいいとタイ人のお医者様からのアドバイスを受け、帰国して日本の精神科に通いました。

その精神科の専門医から紹介されたのが、森田療法でした。とにかく森田療法に関する本を読んでみなさいとのことでした。

いろいろな悩みを抱え、不安な毎日を送っている人もいると思いますが、とりあえず、この森田療法について、wikiに書かれていることだけでも読んでみることをお勧めします。

私が読んだ本には、いろいろな経験談とか、実践方法とかも載っていましたが、私にとって、ためになったのは、いろいろな人たちの神経症に関する体験談でした。

潔癖症だったり、赤面症だったりなどなど。

私は、森田療法の規則正しい生活とか、なんか理屈っぽい説明が苦手で、斜め読みした程度でしたので、自分で読んで、いろいろと考えてみることがいいと思います。

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森田療法では、治療の要点を表すものとして、「あるがまま」という言葉をしばしば用いる。しかし、森田療法における病態把握・アプローチを理解しないまま、「あるがまま」「外装が整えば 内装自ずから熟す」などの言葉やイメージが表面的な形で一人歩きすると、森田療法の誤解や誤ったメッセージにつながりかねないため注意が必要である。

また、このような森田療法の病像把握や治療法・治療過程は、自らの内にある負の感情や欲望などをあるがまま受け止めようとする親鸞や道元・禅宗など大乗仏教の思想と親和的であるとも指摘される。

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世の中には、民間療法とか宗教とか、いろいろな方法もあるわけで、中には、お金儲けとか、おかしなお薬や宗教とかもあるわけで、常に注意も必要だと思います。

そして、個人差が大きいわけで、自分に合う・合わないもあります。自分に合ったと思っても、ほかの人には合わないことも多々あります。

正解は一つではないわけです。

森田療法での入院の場合

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第一期 - 絶対臥褥期:約1週間。患者を個室に隔離し、食事・洗面・排泄など基本的な生活行動以外の活動をさせずにベッドに横たわる。

第二期 - 軽作業期:外界に触れさせ軽作業をさせたりする。臥褥期に起こった「生の欲望」をそのまま日常生活における作業に移し替えようとするもので、エネルギーを全部出しきらずに抑制させながらやや欲求不満の状態にしておくのが特徴。この時期から主治医との「個人面談」と「日記指導」も行う。

第三期 - 作業期:睡眠時間以外はほとんど何かの活動をしているという生活にする。台所仕事、配膳、拭き掃除などを行う。現代では適時休憩をとるように指導するところもある。

第四期 - 社会生活準備期:日常生活に戻れるよう社会生活の準備に当てられる。具体的には、病院から学校や会社へ通うなどする。

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なんか、修行僧みたいな生活で、私の場合には、これを読んだだけで、ますます気が重くなり実践は無理だと思いました。

森田正馬さんは薬を使わなかったそうですが、現代ではうつ症状の改善などを図るため薬を併用することも多く、私も医者から、精神安定剤と抗不安剤、そして入眠剤を処方されました。

薬には副作用もあるし、中毒とまではいかないまでも、精神的な依存もあるので、専門医の指示に従わないと危険だと思います。

私の場合には、不安はどんどん消えていきましたが、入眠剤はすぐにやめられましたのに、抗不安剤と精神安定剤を完全にやめることができるまでには1年くらいかかりました。

どうしても不安に感じた時だけ飲むということで、間隔をあけていきました。

私が精神科に通った時代は、今のように情報もなく、精神科といえば、精神病院、すなわちキチガイが行くところというイメージでしたので、日本に帰って、父に精神科に連れて行って欲しいと頼んだ時の父の気持ちを考えると、すまないことをしてしまったものだと、今でも心が痛みます。

でも、自分一人で考え込まないで、信頼できる人に相談してみるのも、大きな第一歩だと思います。

自分は悩んでいるんだと口外しちゃうわけです。隠したらダメ。

精神科の待合室で考えたことは、通っている患者さんを診断する医師は、大変な職業だなあということでした。

わたしにしても、ああでもないこうでもないと、自分勝手な説明ばかりしているわけで、私だったら、もういい加減にしろと怒鳴りつけたくなるかもしれませんが、さすが専門医で、しっかり話を聞いてくださるわけです。

話を聞いてもらうだけで、かなり楽になることもあるわけです。

自分を不安にさせている原因は何なんだろうかと一緒に考えて、 一緒にその不安を取り除く方法を考えてくださるわけで、それができれば、不安は消えてゆきます。

今の時代、いろいろと不安もあるし、いろいろな人もいるし、まじめな人、感性の豊かな人、想像力のある人ほど、心の悩みを抱えてしまうわけです。

そんな時に、「あるがまま」という言葉がよく登場するわけですが、「いい加減」の意味はいい意味での「良い加減」と悪い意味での「出鱈目」のような「いい加減」もあるわけで、バランスの取れた状態でないと、怠惰な方に進んでしまいがちではないかと思います。

一つのことに固執する性格も、いい方向に進めばいい結果が出ますが、悪いほうに行けば、薬とか賭け事とか異性とかにはまってしまうかもしれません。

自分が、迷路に入り込んで苦しんだ経験があるだけに、同じような悩みを抱えて苦しんでいる人たちには、何とか迷路から抜け出てほしいです。

そのためにも、同じような人たちの体験談、どうやって治したかよりも、どうして迷路に入り込んでしまったのかとか、どういった不安や悩みに苦しんでいたのかを知る方が、自分のためになるような気がします。

みんな悩んで大きくなったんだなあと。

死ぬことが不安で不安で死にたくなるような思考だけはしないで欲しいです。

それじゃあ本末転倒ですし、人間、いくら死にたくなくても、いつかは必ず死んじゃいますから。

2017年11月11日土曜日

不安神経症 その1 森田療法

海外での暮らしは、快適な部分もありますが、意識するしないにかかわらず、常にストレスもあります。

やはり、言葉が違うし、食事も違う、いろいろな習慣も違いますから、ストレス発散をしないとストレスはどんどんたまります。

一時、自分が神経症で苦しんだ経験から、お世話になった知り合いの精神科医にお願いをしてバンコクに来てもらい、邦人の相談会を企画したことがありました。

その時、日本人会に話を持っていって、協力をお願いしたときに、対応してくれた人が、こう言いました。

「タイにはストレス解消の場がいろいろとあるから、ストレスを抱えて病になる人はいないと思うよ。」と。

確かに、ゴルフにしてもきれいなおねえさんのいるクラブにしてもカラオケにしてもタイ式マッサージにしても、ストレス解消にはいいと思うし、タイは、安くて気楽に楽しめます。

しかし、その担当者も、日本人会内でのトラブルで、仕事を失い、髪の毛が真っ白になるくらい落ち込んだと聞きました。

精神的なストレスは、日々ストレス解消をしているから大丈夫だというほど甘くもないわけです。

わたしの不安神経症については、また、あらためて書くつもりですが、神経を病むと、本当に大変です。

まして、昔は、神経症とか、普通の人は知らないわけで、もうひとまとめに精神病、すなわち、キチガイ扱いでした。

ちょうど、日航の片桐機長の逆噴射事故があり、「心身症」という言葉がやっと登場した時代で、まあ、日本の心の病の夜明け的な時代でした。

私の場合には、迷路の中を彷徨いながら、この身体の不調の原因は何なんだろうと、検査を受けまくっていた時期と、やっと、原因は、身体ではなく、心にあるらしいと指摘してもらい、日本で、精神科に通った時期、そして、バンコクに戻って、今日まで、再発もなく暮らすことができている時期となります。

そんな中、勇気を振り絞って、帰国し、父に頼んで精神科に連れて行ってもらったとき、親不孝ばかりな息子でも、心配そうに見ていた親の愛を感じました。

心が落ち着ける環境に自分を置くことも、心の病には大切なことだと思います。

精神科の先生は、とりあえず、「森田療法」という本を読んでみなさいとアドバイスをしてくれました。医大内にある書店で売っているからと教えられ、その足で、父の運転する車で医大に行って本を購入しました。

「森田療法」の本の最初には、いろいろなタイプの神経症で苦しんだ人の経験談が書かれていて、苦しんでいるのは自分だけではなかったんだとか、同じような人もいるんだなとか、それまで、重くどんよりしていた気分が、ちょっと軽くなったような気がしました。

森田療法というのは、1919年に森田正馬先生により創始された神経質に対する精神療法のことです。

神経質が発症するのは

1.ヒポコンドリー性基調:いたずらに病苦を気にする精神的基調のこと。

2.神経質性格:弱力性(内向性・心配性・過敏症・心気症・受動的 )と強力性(完全欲・優越欲求・自尊欲求・健康欲求・支配欲求)を合わせ持つ性格。

3.精神交互作用:ある「感覚」に対する「注意」が強くなるとその「感覚」が強くなり、「感覚」が強くなるとさらにまた「注意」が強くなること。注意と感覚の悪循環。

4.思想の矛盾:かくあるべしと思う「思想」とそうではない「事実」が反対になり矛盾すること。理想の自分と現実の自分のギャップ。

5.生の欲望:向上・発展しようとする欲望。

といっています。

自分を振り返ってみても、自分の性格は、完ぺき主義だし、心配性だし、すぐ病気ではないかと思うし、死ぬことが怖いし、まあ、なるべくしてなった神経症だったかもしれません。

「森田療法」の基本は、「あるがまま」なんだそうで、あるがままに自分も自分を取り巻く環境も受け入れなさいということらしいですが、わたしは、本を読んで、なんか、まじめすぎるような気がして、実践はしていません。

実践の基本としては、早寝早起きの規則正しい生活で、感謝の心と奉仕の実践で、心の満足を得るといった感じのようでした。

早寝早起きや規則正しい生活は、健康生活の基本です。しかし、現代社会では、そんなに健康生活ばかりでは、生きていけないし、おもしろくないです。

だいたい、健康によくない食べ物はおいしいですし、健康的でない生活は楽しいことが多いです。

病気になったら、まあ、とりあえず、規則正しい生活を実践し、調子がよくなったら、いつまでも修行僧のように生きることもないと思いますね。

感謝の気持ちとか奉仕活動は、必要ですが、出来る範囲で十分だと思います。何事も無理を続けることは身体によくないです。

いずれにしても、「森田療法」は、長いこと、いろいろな人たちから支持されているようなので、一度本を読んでみることはお薦めします。

私の場合には、いろいろな人が同じような悩みで苦しんでいることを知ったことが最大の収穫でしたし、迷路から抜け出るためのヒントも見付かりました。

心の病は、複雑だし、個人差もあるから、まずは、専門医に相談するのが一番です。ネットなどには、いろいろなことが書かれているけど、それがいくら正しくても、とにかく専門医に診てもらうことが大切だと思います。

その専門医にしても、自分に合う合わないもあると思うので、ちょっと違うとか違和感を感じたら、別の所で相談するのもいいと思います。

とにかく、あの様な苦しみから、1人でも多くの人が、抜けだされることを祈り続けています。