私は、タイのバンコクに滞在し始めてしばらくしてから不安神経症に悩み苦しんだ時期がありました。
バンコクでもいろいろな病院に行きましたが、最終的には、日本人だから日本人の専門家に診てもらう方がいいとタイ人のお医者様からのアドバイスを受け、帰国して日本の精神科に通いました。
その精神科の専門医から紹介されたのが、森田療法でした。とにかく森田療法に関する本を読んでみなさいとのことでした。
いろいろな悩みを抱え、不安な毎日を送っている人もいると思いますが、とりあえず、この森田療法について、wikiに書かれていることだけでも読んでみることをお勧めします。
私が読んだ本には、いろいろな経験談とか、実践方法とかも載っていましたが、私にとって、ためになったのは、いろいろな人たちの神経症に関する体験談でした。
潔癖症だったり、赤面症だったりなどなど。
私は、森田療法の規則正しい生活とか、なんか理屈っぽい説明が苦手で、斜め読みした程度でしたので、自分で読んで、いろいろと考えてみることがいいと思います。
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森田療法では、治療の要点を表すものとして、「あるがまま」という言葉をしばしば用いる。しかし、森田療法における病態把握・アプローチを理解しないまま、「あるがまま」「外装が整えば 内装自ずから熟す」などの言葉やイメージが表面的な形で一人歩きすると、森田療法の誤解や誤ったメッセージにつながりかねないため注意が必要である。
また、このような森田療法の病像把握や治療法・治療過程は、自らの内にある負の感情や欲望などをあるがまま受け止めようとする親鸞や道元・禅宗など大乗仏教の思想と親和的であるとも指摘される。
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世の中には、民間療法とか宗教とか、いろいろな方法もあるわけで、中には、お金儲けとか、おかしなお薬や宗教とかもあるわけで、常に注意も必要だと思います。
そして、個人差が大きいわけで、自分に合う・合わないもあります。自分に合ったと思っても、ほかの人には合わないことも多々あります。
正解は一つではないわけです。
森田療法での入院の場合
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第一期 - 絶対臥褥期:約1週間。患者を個室に隔離し、食事・洗面・排泄など基本的な生活行動以外の活動をさせずにベッドに横たわる。
第二期 - 軽作業期:外界に触れさせ軽作業をさせたりする。臥褥期に起こった「生の欲望」をそのまま日常生活における作業に移し替えようとするもので、エネルギーを全部出しきらずに抑制させながらやや欲求不満の状態にしておくのが特徴。この時期から主治医との「個人面談」と「日記指導」も行う。
第三期 - 作業期:睡眠時間以外はほとんど何かの活動をしているという生活にする。台所仕事、配膳、拭き掃除などを行う。現代では適時休憩をとるように指導するところもある。
第四期 - 社会生活準備期:日常生活に戻れるよう社会生活の準備に当てられる。具体的には、病院から学校や会社へ通うなどする。
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なんか、修行僧みたいな生活で、私の場合には、これを読んだだけで、ますます気が重くなり実践は無理だと思いました。
森田正馬さんは薬を使わなかったそうですが、現代ではうつ症状の改善などを図るため薬を併用することも多く、私も医者から、精神安定剤と抗不安剤、そして入眠剤を処方されました。
薬には副作用もあるし、中毒とまではいかないまでも、精神的な依存もあるので、専門医の指示に従わないと危険だと思います。
私の場合には、不安はどんどん消えていきましたが、入眠剤はすぐにやめられましたのに、抗不安剤と精神安定剤を完全にやめることができるまでには1年くらいかかりました。
どうしても不安に感じた時だけ飲むということで、間隔をあけていきました。
私が精神科に通った時代は、今のように情報もなく、精神科といえば、精神病院、すなわちキチガイが行くところというイメージでしたので、日本に帰って、父に精神科に連れて行って欲しいと頼んだ時の父の気持ちを考えると、すまないことをしてしまったものだと、今でも心が痛みます。
でも、自分一人で考え込まないで、信頼できる人に相談してみるのも、大きな第一歩だと思います。
自分は悩んでいるんだと口外しちゃうわけです。隠したらダメ。
精神科の待合室で考えたことは、通っている患者さんを診断する医師は、大変な職業だなあということでした。
わたしにしても、ああでもないこうでもないと、自分勝手な説明ばかりしているわけで、私だったら、もういい加減にしろと怒鳴りつけたくなるかもしれませんが、さすが専門医で、しっかり話を聞いてくださるわけです。
話を聞いてもらうだけで、かなり楽になることもあるわけです。
自分を不安にさせている原因は何なんだろうかと一緒に考えて、 一緒にその不安を取り除く方法を考えてくださるわけで、それができれば、不安は消えてゆきます。
今の時代、いろいろと不安もあるし、いろいろな人もいるし、まじめな人、感性の豊かな人、想像力のある人ほど、心の悩みを抱えてしまうわけです。
そんな時に、「あるがまま」という言葉がよく登場するわけですが、「いい加減」の意味はいい意味での「良い加減」と悪い意味での「出鱈目」のような「いい加減」もあるわけで、バランスの取れた状態でないと、怠惰な方に進んでしまいがちではないかと思います。
一つのことに固執する性格も、いい方向に進めばいい結果が出ますが、悪いほうに行けば、薬とか賭け事とか異性とかにはまってしまうかもしれません。
自分が、迷路に入り込んで苦しんだ経験があるだけに、同じような悩みを抱えて苦しんでいる人たちには、何とか迷路から抜け出てほしいです。
そのためにも、同じような人たちの体験談、どうやって治したかよりも、どうして迷路に入り込んでしまったのかとか、どういった不安や悩みに苦しんでいたのかを知る方が、自分のためになるような気がします。
みんな悩んで大きくなったんだなあと。
死ぬことが不安で不安で死にたくなるような思考だけはしないで欲しいです。
それじゃあ本末転倒ですし、人間、いくら死にたくなくても、いつかは必ず死んじゃいますから。