2017年9月11日月曜日

ひょうたんの中の老人(ミャンマーの民話から)

 昔々ある所に貧しい一人の老人がいました。ある日、畑仕事をしているときに、傷ついたすずめを見つけました。すずめは、羽を傷つけていて、飛ぶことが出来ませんでした。

 「可哀相に。いったいどうしたんだ。」と、心のやさしい老人は、すずめに語り掛けて、家に連れ帰りました。毎日、餌と水を与えて、けがの介抱をしてあげました。

 しばらくして、けがが治ると、すずめが飛べるようになったので、老人は、すずめを連れて畑に行って、「気を付けて暮らすのだよ。」といって、空に放してあげました。すずめは、幸せそうに空高く舞い上がってどこかに行ってしまいました。

 いばらくしてから、助けたすずめが、老人のところに帰ってきました。すずめは、老人のおかげで命拾いをした恩返しに、一粒のひょうたんの種を持ってきました。

 老人は、その種を植えて水をやると、あっという間に芽が出て、すぐに大きなひょうたんの実がなりました。老人は、ひょうたんのあまりの大きさにびっくりしました。老人は、大きなひょうたんを家に持ち帰って、割ってみましたところ、中から、金銀宝石がたくさん出てきました。おかげで、この老人は、金持ちになることが出来ました。

 このひょうたんと老人の噂は、町中に広がりました。それを聞いた一人の猟師が、金持ちになった老人をうらやんで、自分も金持ちになりたいので、急いで弓矢を持って森にすずめを探しに行きました。

 飛んできたすずめに弓矢を放ち、落ちてきたすずめを家に持ち帰って、同じように餌と水を与えて、介抱しました。しばらくして、すずめが元気になると、同じように空に放してあげました。すずめは、幸せそうに飛び去りました。

 しばらくして、すずめが、戻ってきたときに、猟師は、自分もお金持ちになれると、大喜びをしました。すずめは、猟師に、やはり一粒のひょうたんの種を持ってきました。

 猟師は、種をまいて、毎日水を与えて、まだかまだかとひょうたんの実がなるのを待ちました。

 やがて、やっとのことで、ひょうたんの実がなりました。

 猟師は、すぐにひょうたんを割ってみました。ところが、中から出てきたのは、金銀財宝ではなく、やせ細った一人の老人でした。











 猟師は、驚いて、「おまえはいったい誰だ。ここで何をしているのか?」と大声で、たずねました。

 すると、ひょうたんの中の老人は、「大声を出さないでくれ。借金取りに居場所がばれてしまうではないか。」と小声でいいました。

 猟師は、その老人が貧乏神だとわかり、とてもがっかりしましたとさ。



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