2017年10月2日月曜日

ミスユニバース

来月11月26日に米国・ラスベガスのホテルにで、第66回ミスユニバース世界大会が開かれる予定です。

タイからは、スウェーデンとタイとのハーフのmaria poonlertlarpさんが、出場の予定です。

タイは、ミスなんとかが大好きな国民で、いろいろな大会をテレビ中継したりしています。タイは、過去に2人のミスユニバースを生んでいます。日本と同じですね。

タイは、コスチューム部門でも毎年話題になります。

今年は、タイの民話に出てくるメカラをモチーフにした衣装になる予定だそうです。

そこでタイの民話「メカラとラマスーン」です。

タイの大空に、雷をともなった雲が渦巻き、稲妻が空を走った時、一人の子供が、空を見上げて、かわいらしい手を振り、叫びました。

「メカラが、彼女のクリスタルの玉の力を借りて、雷神ラマスーンの斧から逃げている。」

メカラは、海の白い泡立ちから生まれた妖精です。彼女は、年若く、魅惑的な瞳と長い黒髪を持ち、誰からも好かれる性格でした。

彼女は空を駈けることができて、よく雲の間から、彼女のクリスタルの玉を両手に抱えている姿がが見られました。そのクリスタルの玉は、彼女の命令で、恐ろしい目の眩むような光を放ちました。

メカラが、しばしの静かな時を宮殿の中で過ごしたあと、彼女は、素早く宮殿を抜け出し、雲の層をどんどん駈け上って行きました。

ほとんどの場合、彼女は一人っきりでした。彼女は、この遊びが好きでした。時には、明るい色彩豊かで、輝く宝石をちりばめた服を着た友達たちと、空を駆け回りました。メカラは、いつも服の中にクリスタルの玉を入れていました。

いつも出かける前に、母親から、「メカラ、乱暴なラマスーンには気をつけるのだよ。あまり家から離れた遠くには行かないようにね。」といわれていました。

すると、メカラは、母親に、「お母さん、心配はいらないわ、私には、クリスタルの玉があるから、大丈夫。自分のことは、自分で守ります。」と言いました。

ある日、彼女が友達たちと遊んでいるところに、ラマスーンが偶然通りかかりました。

ラマスーンは、雷雲の中で生まれ、雨を産湯として育ちました。ラマスーンは、メカラの優しそうな美しい姿を見て、一目で魅了されてしまいました。

「今日は、たくさんの友達と一緒だから、メカラが一人でいる時を待つことにしよう。」とラマスーンは、心の中で考えました。ラマスーンの親友は、ラフーといい、暗闇の神でした。




ラマスーンは、いつも背中に武器として、斧を背負っていました。ラマスーンが望めば、ラフーを呼び出して、深い暗闇の世界を作り出すこともできました。

ラマスーンは、メカラを捕まえて、自分の住処に連れていこうという恐ろしい考えを持っていました。

ある日、メカラは、美しい白いふわふわする雲を昇ったり、降ったりして、高いところにあるひとつの雲の上に寝ころびました。

突然、不吉な黒い雲が、渦巻きながら、彼女の方に向かってきました。ラマスーンが、彼女に向かって突進してきて、驚き、悲しみをたたえた妖精のメカラを抱きしめようとしました。邪悪なラマスーンは、巧みに暗雲の中に姿を隠していましたが、メカラの神聖な瞳は誤魔化せませんでした。

メカラは、大急ぎで、クリスタルの玉を取り出し、まばゆい光を放つように祈りました。

ラマスーンは、恐ろしい斧を、メカラに向かって投げつけました。耳をつんざくような、斧とクリスタルの光のぶつかり合う音がしました。激しい衝撃のあとに、メカラは、斧が暗闇の雲の間に落ちていくのを見ました。

そのとき、ラマスーンの力によって、突然の大雨が降り始め、ラマスーンは、大雨に隠れて逃げ去りました。

メカラも急いで、自分の美しい宮殿に帰りました。雨に濡れて、ボサボサになった髪を乾かして、クリスタルの玉をしまいました。

このようなメカラとラマスーンの争いは、今でも続いているので、地上でも、稲妻や落雷の音を聞くことができるのです。

それは、ラマスーンの投げつける斧に向かって、メカラがクリスタルの玉からまばゆい光を放ち、お互いがぶつかり合うのです。そして、大雨が降り始めて、それに紛れて、ラマスーンが、今日も逃げ去るのです。

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