現代の畳は、部屋に敷き詰められていますが、本来の畳は、莚(むしろ)・茣蓙(ござ)・菰(こも)などの薄い敷物の総称だったそうです。
だから、使わないときには丸めたり、折り畳んだりして部屋の隅に片付けていたそうです。
この使わないときには畳んだり丸めたり、コンパクトにするというのが、日本人の得意な分野ですよね。
日本の昔ながらの家には押し入れがあって、普段使わないものをしまうだけでなく、毎朝、布団をたたんで押し入れに入れて、部屋を広く使えるようにしています。
和室で使うテーブルも足を折り畳んで、部屋の隅に立てかけておいて、必要な時に取り出してテーブルとして使うものもあります。
座布団も重ねてしまっておくことができるし、座椅子もたためますし、コタツも使わないときには床下に収納します。
日本人は、モノを小型化するのも得意ですが、モノを折り畳むのも得意です。
スペースを有効に使う知恵も持っています。
日本家屋は、ふすまを取り払うと広く使えて、冠婚葬祭などに使えるようになっています。
日本人は、常に創意工夫をして、無駄を省き、自然との共存共栄を考えてきています。
もう一つ、日本人は、自分専用の食器を使います。
私が知らないだけかもしれませんが、自分用の箸を使う民族は他にいないのではないかと思います。
お茶碗も湯飲みも自分専用があります。
これを子供の時から当たり前のようにしているから、所有物の観念がしっかりしています。
モノに所有者の名前を子供の時から書きます。
他人のものと自分のモノをいい加減に混同して使うようなことはしません。
日本の習慣や価値観のすべてが正しいとか優れているとは思いませんが、素晴らしいものが多いのは間違いないことです。
素晴らしいものを捨て、くだらないものに走るのは愚かだと思います。