2019年5月24日金曜日

プライとアマート

最近、ほとんど聞かなくなったけど、タクシン派の赤シャツが暴れていた頃、彼らのスローガンはいくつかありました。有名な「バンコクを焼き尽くせ!」とか。

彼らの中心にいたのは、古い共産主義者たちで、中国に留学して、共産主義を学んだような、左翼エリートです。

毛沢東のスローガンといえば、「造反有理」であったり、「革命無罪」だったり、農村から蜂起して都市を囲いこんでいくゲリラ戦術理論(人民戦争理論)が有名ですが、赤シャツの戦略も、そうした農村から、都市部に攻め入る理論のようです。

中国には、有名な便衣兵戦法もあり、軍人が市民の服装で戦ったり、ハニートラップなんかも有名ですよね。

タクシン派は、テレビ局・多数の地域ラジオ放送局・新聞雑誌あるいは幹部訓練塾、赤シャツ村などの独自の宣伝教育手段、カルト宗教および大衆の長期動員を可能とする資金力、都市部では、地方から出稼ぎの労働者やタクシーやバイクタクシーの運転手などによる口コミも、大きな力です。

そして掲げた社会を分断するスローガンが、プライ(被支配民)とアマート(大官)の対立でした。

都市部の反タクシン派をアマート(支配階級)と決めつけ、田舎の人たちは、彼らに利用されているプライ(被支配階級)と洗脳したわけです。

タクシン派の政治家やリーダーたちにも軍人や警察官や役人や大金持ちはいるわけで、大いなる矛盾ですが、共産主義者というのは、自分勝手なモノなんです。

どこの国でも、左翼の学者たちや左翼のメディアには悪質な人たちがいると思います。

こうした「プライとアマート」は、さすがにタイの社会を分断すると、最近は使われなくなっていますが、タクシン派の人たちの考え方には、依然、「プライとアマート」が残っていると思います。

今日、国王陛下と王妃を迎えての国民議会の開会式に、選挙で選ばれた下院議員と指名された上院議員たちが、一堂に会していました。

みんな昔の大日本帝国海軍の制服のような白い上下の制服でしたが、タイの政治家や役人のユニフォームで、あれがまさにアマートの制服なんです。

以前から、支配階級を倒すとか、威勢のいいことを言ってきたタナトーンやピヤブットが、嬉しそうにアマートの制服を着て、国王陛下の前に並んでいる姿は、なんか、滑稽に見えました。

タナトーンは、15日間の反論の機会を与えられていて、その結果で、彼の処罰が決まりますが、まだ他にも、いろいろな問題が待ち受けているようです。


下院議長に2度首相を経験しているチュワン・リークパイ民主党議員が、選ばれる可能性が出てきたそうです。