2020年11月20日金曜日

タイの反政府運動について

 反政府集会と一口にいっても、実際には、いろいろな人たちがいるわけで、純粋に今の政権はおかしいとか王制のあり方に疑問を持つ学生や生徒たちもいますが、バックに政治家や政治活動家が付いているグループもありますし、かなり過激なグループもいるようです。

タイには、昔から、軍と警察の間には対立があったりするようです。予備士官学校では、警官を目指す人も軍人を目指す人も一緒に学ぶのがタイだそうですが、将官になるに従って利害が絡むようです。

一般的に軍の方が大きな権限を持っているわけですが、タクシン派にはタクシン自身も警察官出身ですし、多くの警察高官がいるといわれています。

タクシンは、軍にも自分の派閥を増やそうとして、主流派から反発を受けたようです。

タクシン以降、タクシンを応援する赤シャツと反タクシンの黄色とが対立し、何度も流血の惨事になったわけですが、やはり、印象的だったのは、パタヤでの国際会議に赤シャツが乱入して国際会議をぶちこわした事件とか、アピシット首相の乗った車に赤シャツが襲いかかった件とか、ラチャプラソン交差点にあるセントラルワールドなどを燃やしたことがありました。

黄色の方では、ドンムアンとスワナプーム国際空港を占拠した件でしょうか。

それで、タクシン派はどうしていつもラチャプラソン交差点で集会を開くのかと考えたところ、あそこには警察本部があるんですよね。

私の個人的な妄想では、いざとなったら、仲間の警察が守ってくれると思っているのかもしれません。

さて、今回の反政府集会は、SNSが色々と注目されています。

動員をかける手段もSNSですし、いろいろな情報もネットで拡散しています。

参加者たちも、いかに映える写真や映像を撮るのかが重要のようで、撮った写真や映像をSNSにアップするわけです。

色とりどりのヘルメットとか雨合羽などは、バエます。

黄色い大きなアヒルのボートも建造物へのペンキでの落書きもバエます。

SNSは誰もが主役になれるツールですから、どうしても、自己中心的になりがちで、7000万人の人口のタイで、10万人くらいで、タイ市民の代表といった立ち位置のようです。

市民の憲法法案とか、どれだけの市民が支持しているかと思えば、10万人ちょっとだそうです。

愛知県の大村知事へのリコールで集まった署名はタイの人口の10の1ほどの人口の愛知県でも40万人を超えたわけで、タイだったら最低でも500万人くらいの支持を集めないと市民代表を語ってはいけないのでは?

結局、7つの憲法改正案の中で、王制には触れない改正が国会では多数の支持を得たようです。

プラユット首相辞任とか憲法改正とかいってきましたが、結局、若者たちが最期まで主張しているのは王制改革のようです。

そこで、再び注目されてきたのが、タイの不敬罪の存在です。

刑法112条

「国王、王妃、王位継承者あるいは摂政に対して中傷する、侮辱するあるいは敵意をあらわにする者は、何人も三年から十五年の禁固刑に処するものとする」

この不敬罪から逃げて国外に滞在しているお尋ね者たちが数十人いるそうです。

今回注目されているのは、112条だけでなく110条もあるそうです。

刑法110条

「女王またはその自由、法定推定相続人またはその自由、または摂政またはその自由に対して暴力行為を行った者は、終身刑または16年から20年の懲役に処せられる」

先月王妃が乗っている車に対して罵声を浴びせかけて逮捕された人には、こちらで起訴されるようです。

刑法113条

誰でも、次の目的で暴力行為を行うか、暴力行為を行うと罰せられます。

1.憲法を転覆または変更する。

2.憲法の立法権、行政権または司法権を転覆するか、そのような権力を無効にする。

3.王国を分離するか、王国のどこかで行政権を掌握し、反乱を犯かす。

このような場合、死刑または終身刑に処せられる。


要するにクーデターは違法なんですが、過去のクーデターが違法扱いされてこなかったのはおかしいという学生たちからの指摘もあるわけです。

今の憲法を改正するには、軍事クーデターか市民革命以外にはないとか極論を言っている人たちもいるそうです。

そんなの困りますよね。やはり、タイには平和と微笑みが似合います。

水を飲む順番を待つ我が家の猫