森永製菓の「エールチョコレート」のCMで「大きいことはいいことだ」というキャッチフレーズが1967年(昭和42年)に放送され話題になりました。
東京オリンピックも終わって、日本が高度成長期に入って行く時に、アメリカ製品の大きいことはいいことだ的な価値観が日本に入り始めてきた時代です。
日本人は、欧米人に比べると体格的に小さいですし、家にしても車にしても冷蔵庫にしてもかなりの大きさに差がありました。
日本人は、プロレスなんかでも、大きな体格の外国人レスラーに対して小さな体の日本人レスラーが、耐えがたきを堪え、忍び難きをしのんで最後には勝利するというシナリオが好まれました。
「山椒は小粒でもピリリと辛い」なんて、まるで日本人を表しているようです。
しかし、日本が豊かになると、日本人も体格がよくなっていったし、欲望も肥大化していきました。
大きい車に乗りたいとか、大きな豪邸に住みたいとか、高層ビルを建てたいとか、投資で大儲けをしたいとか欧米の価値観に染まる人たちが出てきました。
テレビも日本人の欲望を肥大化させようとするCMや番組が増えて、粗食だった日本人の食生活も変化し、太った人たちも激増して、健康問題も注目されるようになりました。
食べる量を減らせばいいのに、食べる量は減らしたくないと、痩せるための努力をします。
バランスのいい適度な食事をすればいいのに、好きなものをいっぱい食べたいからと、サプリメントに頼ったり、ジムに通って運動したりするわけで、まるで、アクセルを踏みながらブレーキを踏んでいるようなことを平気でする人もいます。
日本には、「提灯マラ」という言葉があります。解釈にはいろいろとあるそうですが、男性のイチモツが普段は畳まれているのに使うときには大きくなるという意味で使われることは、コンパクトの価値観ではないかと思います。
例えば、折り畳みスマホなんかでもそうですが、大きく使いたいけど畳むことができれば持ち運びに便利だとなるわけです。
折り畳み自転車なんかもありますよね。折り畳み傘なんかは、かなり普及しています。
必要以上に大きいことは、現代の価値観では否定されることが多いのに、人は、必要もないのにものすごく高い建物を建てたり、ものすごく速いスピードで走る車を作ったりもします。
女性のおっぱいにしても、授乳時にしっかりと母乳を子供に与えることができればいいわけで、普段はコンパクトですけど、妊娠すると大きくなるのが優れモノのような気がしますけど、世の中には、必要以上に大きなバストが好きな男性と女性がいるから不思議です。
バベルの塔は人間の高慢さの例として語られることが多くて、天にまで届くような塔を建てようとする行為を戒め、それによって、人類が一つになることを神が認めなかったとされます。
ソドムとゴモラの話は、死海付近にあったとされる都市が住民の罪深さ(不義、傲慢、性的逸脱など)が神の怒りを招き、神はこれらの都市を滅ぼしました。
要するに、人間は、欲望を肥大化し過ぎることなく、足るを知って、何事も、やり過ぎないことが大切だと思うわけです。