2020年7月13日月曜日

米中の狭間のタイ

タイは、日本の同盟国として、1942年1月25日ピブーンソンクラーム首相が米英に宣戦布告をしたので、日本の敗戦で、タイも敗戦国となるはずでしたが、アメリカは、反政府でアメリカにあった自由タイ政権を認めて、敗戦国になることから逃れました。

しかし、イギリスは、自由タイを認めず、タイはイギリスに対しては敗戦国となってしまいました。

日本がフランスやイギリスから奪ってタイのものとなっていた領土も返還し、コメを賠償としたりしました。

戦後は、タイと米国の関係は良好で、ベトナム戦争時代には、タイ国内にいくつもの米軍基地もありました。

軍事道路として、バンコクと地方との道路も整備されました。

ところが、1997年の香港返還以後、為替危機が起き、タイに欧米の資本が流入し、タイが大いに発展をしたのですが、その牽引をしたタクシン内閣が、クーデターで倒れ、それから、タイの政治が混乱する中、タイは欧米から非民主的だと非難を受けていきました。

そして、タイと欧米との間に、いろいろな問題が起きて、アメリカも、タイとの合同軍事訓練を中止するなど、距離を取り始めました。

すると、タイは、中国やロシアとの関係を深めて、欧米を牽制しました。

外交上手のタイです。

中国の経済的な大発展もあって、この10年以上、中国の経済圏にどっぷりと組み込まれていったという感じのタイでしたが、今年になってからの新型コロナを気に、米国と中国との経済戦争も激しくなっています。

そして、中国の経済にも陰りが見え始めているのか、世界の至るところで、中国離れも出てきているようです。

タイ国内でも中国による高速鉄道建設の計画があるのですが、どうなるのでしょうか。

そんな中、最近、イギリスによるタイへの圧力が高まっているようなニュースが出てきています。

サルによるココナッツのみをとる方法が動物虐待とか言い始めて、タイからのココナッツの輸入を禁止するというわけです。

先月末に香港では国家安全法が可決され、これから、香港にある欧米司法の動きも注目されています。

台湾やチベットやウイグルの問題もあります。

そして、軍事面でも、中国は、ベトナムやフィリピンや日本とも領海問題を抱えています。

タイは、東南アジアの安定のためには、アメリカにとって、非常に重要な位置にあります。

これから、中国と米国との間で、外交上手のタイが、どうやって国益を守っていくのか、非常に興味深いです。

もしも、香港から欧米の資本が逃げ出したとしたら、その行き先は、台湾なのかシンガポールなのか、それともタイなのか、日本なのか、そのあたりも、興味深いところです。